11月20日に書いた、「雇用者がインフレ率を正しく予想することを目的と
するのはどういう理由からか」という件、Barro and Gordon(1983)の
JME論文と、同じコンビの同じ年の論文"A Positive Theory of Monetary
Policy in a Natural Rate Model."Journal of Political Economy、
をさらっと見た限り、きちんとした理由はないように思われる(つまみ読み
してるので見落としてるかもしれないけど)。
"Given rational ecpectaitons, people predict inflation by solving
out the policymaker's optimization problem"なんて書いてあるんで、
合理的期待均衡を求めることが前提の構造になってるみたい。
あと、Barro and Gordonでは、雇用者が期待していたインフレ率よりも
中央銀行が高いインフレ率を設定した場合、次の期に雇用者が「キレて」、
中央銀行にとって期待インフレ率=実際のインフレ率にするのが最適になる
ようなインフレ率(=subgame perfectになるようなインフレ率)を期待
する、という構成になってる。これは、雇用者がインフレ率を正しく予想
することを目的としているなら最適な行動だ。
というわけで、最近は日本語でよさそうな文献を探していて、岩本康志
『「デフレの罠」脱却のための金融財政政策のシナリオ』にぶち当たった
(まだ読み途中)。
最近のデフレ脱却に関する議論を知るよいサーベイだと思うし、俺の修論と
同様Money in the Utility(MIU)モデルの話だからとっつきやすい。
修論では財政政策がリカード的か非リカード的か、なんてことまでは考慮して
なかったから、そういった視点を入れたらどうなるか、ってことを週末考えようと
したんだけど、結局できなかった・・・。
(注:「非リカード的な財政政策」とは、政府負債が横断性条件を満たさないことをいう。
非リカード的な財政政策のもとでは、政府の通時的な予算制約式は均衡で
しか満たされなくなる。)
それから、これは備忘録だけど、Akerlof, Dikens and Perry (2000)
"The Macroeconomics of Low Inflation" Brookings Papers on Economic Activity
では、長期的にフィリップス曲線が垂直にならないケースを扱っているのだから、
その議論を敷衍すれば、去年10月19日に書いたような話も正当化できるのかも。